国/地域/言語選択

至るところで精度を重視

世界ではあらゆる種類の車両でエミッションフリーの駆動システムが必要になっており、モビリティ転換が進んでいますが、その手段となっているのは、もはや電気自動車だけではありません。とりわけ長距離走行と大型トラックでは、航続可能距離が長く、燃料補給時間が短い燃料電池自動車が魅力的になっています。ドイツのデッティンゲン・アン・デア・エルムス所在のEKPO Fuel Cell Technologiesでは、このテクノロジーの心臓部である燃料電池スタックを製造していますが、このスタックは、最大400枚の極薄のバイポーラプレートを溶接したものとなっています。個々のセルを電気的に接続し、反応ガスを分配し、冷却し、最終的に水として排出するこのプレートは、非常に重要なコンポーネントです。典型的な自動車部品供給と最先端のレーザテクノロジーに関して豊富な経験を有するTRUMPFの協力を得ながら、EKPOは燃料電池製造での課題をクリアしています。

EKPO Fuel Cell Technologies GmbH

www.ekpo-fuelcell.com

EKPOでは燃料電池スタックを開発し、大量生産しています。2020年に設立された同社は、自動車部品サプライヤーElringKlingerとOPmobilityが出資したジョイントベンチャーであり、両社が強力な後ろ盾になっています。コンポーネント・システムサプライヤーとして、EKPOはあらゆる種類の車両向けにソリューションを製造しています。道路、鉄道、水上やオフロードなどの様々な分野で、EKPOの燃料電池は各モーターをエミッションフリーで駆動しています。

業界
機械製造
従業員数
約220人
事業拠点
デッティンゲン・アン・デア・エルムス(ドイツ)
TRUMPF製品
  • TruFiber

  • TruDisk

  • TruLaser Cell

  • TruMark

  • TruMark Station

アプリケーション
  • レーザ溶接

  • レーザ切断

  • レーザマーキング

課題

接続、分配、誘導と冷却を担うバイポーラプレートは、どの燃料電池にも欠かせない重要な部品です。バイポーラプレートを構成している2枚の極薄の金属プレートは、相互に溶接されています。その上には、フローフィールドと呼ばれる極小の流路があり、そこを後で水素と酸素が流れることになります。両方のプレートの間では、冷却剤が循環しています。燃料電池内での化学反応が安全かつ確実に進行するには、接合部が完全に気密状態になっていなければなりません。「漏れのある溶接ビードがわずかひとつあるだけで、スタック全体が使い物にならなくなってしまいます」と、EKPOのアルノ・バイヤー産業エンジニアリング接合部長は述べています。従って、スタックごとに最大400枚あるプレートでは、ひとつひとつの継目が重要になりますが、それは、欠陥を後で修復することができないからでもあります。

バイポーラプレートは大量生産品ですが、極めて高い精度が要求されます。まさにそれにTruFiberは応えています。

アルノ・バイヤー
EKPO産業エンジニアリング接合部長

ソリューション

EKPOでは、精度、速度とプロセス安定性が同時に得られるレーザ溶接ソリューションを探し求めました。「非常に高い精度で加工できるだけでなく、それが産業環境条件下でも確実に実現するレーザが必要なことが分かっていたのですが、それに該当するのがTruFiberだったのです」とバイヤー部長は語っています。EKPOにとっては、卓越したビーム品質と高いプロセス安定性の組み合わせが特に大きな魅力となりました。「バイポーラプレートには多くのノウハウが注ぎ込まれています。同時に、燃料電池1台につき最大400枚のバイポーラプレートが必要なため、純粋な大量生産品でもあります。しかも、各プレートでの溶接ビードの長さは最大3メートルに至ります。」EKPOではスタックを年間約10,000個製造しています。従って、デッティンゲン工場のファイバーレーザは、年間約12,000キロメートルの溶接ビードを引く必要がありますが、これは、ハンブルクとニューヨーク間を船で往復する距離に相当します。

 

実行

EKPOの自動生産ラインでは、レーザ光がバイポーラプレートの両側を、幅が最大0.2ミリメートルの溶接ビードで気密溶接しています。EKPOでの溶接は、ハンピングが発生する速度に近いレベルで行われており、この速度では物理的な理由から、真珠が繋がったような余計な隆起が継目に生じてしまいますが、ファイバーレーザなら問題ありません。 高品質の結果が一定に得られるため、不良品率は1パーセントを大きく下回っています。溶接プロセス後は、要件の高い電気伝導率テストとリークテストが最大2 barの圧力で行われます。溶接ビードがこれに耐えることができれば、バイポーラプレートがスタックに相応しい状態になっていることになります。

展望

「高出力であると同時に、効率と寿命も向上している燃料電池に対する需要が高まっています」とバイヤー部長は述べています。「海上と鉄道用途、道路での大型トラックと建設車両でのニーズが高まっています。」このトレンドに対して、EKPOでは新型スタックNM20で対応しています。電力が最大400ワットに達するこのスタックは、燃料電池テクノロジーの競争力をその他の分野で強化するものとなっています。

製品に関する詳細情報

TruFiber P、製品群
ファイバーレーザTruFiber P

TruFiber Pシリーズは、多種多様な生産要件に合わせて開発されているため、様々な設定オプションが用意されています。高精度アプリケーションに適した最大2 kWのシングルモードレーザとしても、溶接深さが深め、または溶接速度が高めのアプリケーションに適した最大6 kWのマルチモードバリエーションとしても使用可能であり、すべてがコンパクトなハウジングにまとめられています。

製品へ

2025年9月8日現在