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効率を飛躍的に向上させるフルオートメーション

熱間成形とレーザ加工の関係はアンバランスになっており、熱間成形された大量の部品を更に加工するには、3台から4台のレーザ装置が必要になります。従ってGEDIAではオートメーションが主要なテーマになっていますが、多品種中量生産に伴い、装備を頻繁に変更しなければならないため、効率的なオートメーションの実現は困難です。しかも、プロセスを自動化した場合は、半製品と製品に合うコンテナが必要になりますが、部品が多種多様であるため、高コストにつながってしまいます。サイドメンバーの大量生産を受注したことで、GEDIAではオートメーションが実現可能になりました。同社はTRUMPFとソリューションパートナーAutom8と共同で、まず既存の2装置を省スペースで部分的に自動化した後に、新しい完全自動型TruLaser Cell 8030に投資したのです。

GEDIA Gebrüder Dingerkus GmbH

www.gedia.com

1910年に設立された家族経営企業GEDIAは、世界中の自動車業界で名の知れたサプライヤーです。ボディとシャシーの骨格部品とアセンブリーを開発・製造し、車体構造の厳格なクラッシュ要件を満たす機能部品を生産し、エンジンコンポーネントを供給しています。ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州アッテンドルンに本拠を置き、それ以外に米国、メキシコ、ポーランド、スペイン、ハンガリー、インドと中国に8工場を構えているGEDIAは、合計約4,800人の従業員を抱えています。自動車の軽量構造におけるあらゆる標準的な技術に関する豊富なノウハウに加えて、同社では将来性の高いテクノロジーに関する専門知識も継続的に深めており、多数のジョイントベンチャーや研究プロジェクトに参加しています。

業界
自動車産業
従業員数
4,800
事業拠点
アッテンドルン(ドイツ)
TRUMPF製品
  • オートメーション搭載TruLaser Cell 8030

アプリケーション
  • レーザ切断

  • オートメーション

課題

自動車部品サプライヤーGEDIAでは、多種多様なサイズのボディ部品を製造しています。このように製品の幅が広いため、生産では高い柔軟性が求められます。多くの場合、経済的に有意義なオートメーションは困難です。サイドメンバーの大量生産を受注したことで、GEDIAではようやくオートメーションに向けて青信号が灯りました。「初期計画後、この一品目で、少なくとも2台のレーザの稼働率が100パーセントになることが判明しました。オートメーションに必要なコンテナは、お客様が供給してくださったので、完璧な前提条件が整ったのです」と、GEDIAのパスカル・カウフマン生産部長は述べています。 個数に加えて、サイドメンバーの重量と寸法も、自動加工を後押ししました。重さ約8キログラム、長さ約1.80メートルのこの部品は、従業員にとって取り扱いにくかったためです。

カウフマン部長と、マシン・建物管理部門のビョルン・ミュラー投資財プロジェクトリーダーは、TRUMPFに問い合わせました。そして、TRUMPFのエキスパートと、ソリューションパートナーAutom8のスペシャリストとの共同ワークショップで、完全自動型プロセスに求めるものを洗い出しました。「重要なポイントのひとつが、コンテナ管理でした」とミュラープロジェクトリーダーは切り出して、こう付け加えています。「自動プロセスでは特殊なコンテナが必要ですが、購入費用が高く、ハンドリングと保管も経済性に悪影響を及ぼしてしまいます。」また、適切なカメラシステムによる品質保証と、精巧なグリッパーテクノロジーも議題に上がっていました。 「大抵の熱間成形部品はすり鉢形で、表面がざらついています。レーザで更に加工するために、この部品は積み重ねられますが、その自動把持は、そして特にそれをひとつずつ取り出すことは、些細なことではありません」とミュラープロジェクトリーダーは述べています。 それに加えて、オートメーションに利用できるスペースは非常に限られていました。

TRUMPFとAutom8が考案したコンセプトは、納得がいくものでした。具体的には、既存のTruLaser Cell 8030のうち、2台にスマートなワンロボットオートメーションを装備したのですが、これは省スペース配置になっており、TruLaser Cell 8030を自動モードでも手動モードでも稼働することが可能で、GEDIAの生産現場でのスペースに完璧にマッチしていたのです。ですがその少し後に、生産個数が変化したことで、もう1台のTruLaser Cell 8030のオートメーションが必要になり、再び柔軟性が求められることになりました。ただしこの装置では、サイドメンバーの生産では稼働率が50パーセントにしか達しないため、困ったことになってしまったのです。最初の2つのオートメーションでの良い経験を受けて、カウフマン部長とミュラープロジェクトリーダーは、次の一歩を踏み出すことにしました。フルオートメーションを依頼して、サイドメンバーに加えて、それと寸法が同様のもうひとつの品目を、セットアップの大きな手間とオペレーターによる介入なしで、24時間365日生産できるようにしたのです。

Autom8との共同作業では、TRUMPFが総指揮を執りました。そのため、すべてが一手に提供されたような感覚でした。

ビョルン・ミュラー
GEDIAマシン・建物管理部門投資財プロジェクトリーダー

ソリューション

既存の2装置のワンロボットオートメーションで、GEDIAは省スペースソリューションを希望しました。スマートな安全コンセプトを採用し、装置の片側に収納可能な安全ドアを付けたことで、この要件が満たされています。これらの装置ではハイブリッド加工が可能であることが、柔軟性を高めています。自動モードに加えて、従来の手動モードも可能になっています。

完全自動型TruLaser Cell 8030では、ローディング・アンローディングロボットを使用して稼働することで、レーザでの加工プロセスがスピードアップするようになっています。この装置が連続稼働できるようにするため、レーザ作業エリアの上側にはバッファゾーンが設けられており、コンテナがまだ交換されていない場合は、ロボットが部品を仮置きできるようになっています。更なるスピードアップを目的として、このオートメーション用に準備された治具には、部品を取り出すための空圧式イジェクターが備わっています。これにより、ロボットの動作の流れがシンプルになります。

プロセス安定性の高いパーツハンドリングには、ビンピッキングテクノロジーを搭載したグリッパーが貢献しています。カメラベースのこのソリューションは、複雑な部品であっても、その姿勢にほとんど関係なく確実に掴むことができます。また、新しいマシンにはスキャナーベースのカメラシステムが搭載されており、品質保証の信頼性がより一層高まっています。このスキャナーは明るさに関係なく、しかも汚れがある部品であっても、加工手順がすべて正しく行われたかどうかを検出することができます。

 

実行

既に自動化してあった2台の既存マシンに備わっているロボットが、熱間成形した半製品を自動加工専用設計のコンテナから取り出して、TLC8030に供給します。カメラベースの巧みなグリッパーテクノロジーには、動かなくなっている部品をスタックから外すためのストリッパーピンが備わっています。レーザの加工プロセスは、外部カメラシステムによって監視されます。レーザ加工が完了すると、ロボットが製品を別のコンテナの中に置きます。切断プロセスには時間が少々かかるため、レーザの上側にはバッファゾーンが設けられています。ロボットはここに加工待ちの部品を置くことができます。そのため、従業員には時間に比較的大きな余裕が生まれ、マシンを停止することなく、空のコンテナを取り除いて、新しいものと交換することができます。特にスマートなソリューションが、省スペースの安全コンセプトです。「当社では、レーザ装置同士が密接に立ち並んでいます」とカウフマン部長は前置きして、次のように付け加えています。「手動操作ではこのスペースで足りますが、オートメーションでは、安全用の囲いが多大なスペースを占拠してしまいます。」そこで解決策として、固定式の囲いが、ロボットが立っている領域だけを囲むようにしました。マシンの反対側を防護しているスライディングドアは、後ろに倒して完全に収納可能になっています。装置のこの側では、固定式の囲いの代わりに、床にマーキングが施され、スキャナーが設置されています。「この境界をわずかに越えた場合、ロボットの速度が低下しますが、作業が完全に停止することはありません」とミュラープロジェクトリーダーは説明しています。「従業員や作業機器が装置のすぐ近くまで接近して初めてマシンは停止し、再起動が必要になります。」

完全自動型TruLaser Cell 8030では、2台のロボットがこの装置に加工品を搬出入しています。片側では、1台のロボットが用意されている2個のコンテナのいずれかから半製品を取り出して、マシンに供給します。ここでも、ローディングステーションであるレーザの上側に材料バッファが設けられており、マシンのそばにあるコンテナが短時間であれば空であっても構わず、追加部品が来ないためにロボットが作業を停止することがないようになっています。反対側にあるロボットは、加工した部品を取り出して、所定のコンテナに入れます。コンテナが満杯になった場合は、材料バッファが一時的な置き場として機能します。

このマシンは24時間365日稼働し続け、従業員の作業はコンテナの交換だけとなっています。ここでも、スキャナーベースのカメラによって、加工手順が品質基準に沿って行われていることが保証されています。「当社はこのマシンで、サイドメンバーの一部とサイドシルを製造していますが、これらの寸法は似通っています」とミュラープロジェクトリーダーは語っています。そのため、両方の部品をセットアップの大きな手間なしで、同じマシンで自動生産することが可能になっています。

展望

「これは非常に良い共同プロジェクトでした」とカウフマン部長は述べた上で、それを具体的に説明しています。「同じ目線に立って、当社の要件にピタリと合う解決策を探しました。Autom8との共同作業では、TRUMPFが総指揮を執りました。そのため、すべてが一手に提供されたような感覚でした。」同部長は、柔軟性に関してもとても良かったと思い起こしています。「再びアイデアがあって、それが実行可能かどうか問い合わせた時、TRUMPFもAutom8もこちらのイメージに耳を傾けてくれました。」

今後もGEDIAはオートメーションに前向きな姿勢を示しており、プロセスをスリム化してより一層効率的にすることを考えています。「オートメーションの度合いを高めれば、従業員をより効果的に投入することができますが、どこで行えば意味があるかをしっかりと検討しなければなりません。 従って、カスタマイズ型ソリューションが非常に重要になります。」

製品に関する詳細情報

3Dレーザ切断・溶接のオートメーション

当社ではマシン、治具とオートメーションの組み合わせを一手に提供することで、お客様の生産要件に合ったカスタマイズ型ソリューションを提供しています。オートメーションソリューションは、当社のどの3Dレーザ装置に関しても、それぞれの状況に合わせて提供可能です。当社ではお客様と協力しながら、お客様のニーズと要件に合わせてカスタマイズしたソリューションを生み出しています。

製品へ

2025年7月28日現在