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技術的躍進から、新たな要へ

H&B Electronic社は、国際規格認証を取得しグローバルに活躍しているメーカーです。品質とコスト効率を両立する、エレクトロメカニクス・産業用エレクトロニクス・医療技術・その他のパイオニア技術向け高精度部品を製造しています。同家族経営企業は、TRUMPFのTruPrint 5000を導入し、金属の積層造形分野への参入を決めました。当社はプラスチック部品の品質と経済効率、ひいては射出成形金型に非常に高い要件を課しています。そのため、コンター付近の焼戻しと熱間工具鋼1.2343の組み合わせによる工法に頼っています。TRUMPFの協力があったからこそ、私たちは自らが課すこれらの要求に応えられたのです」と、H&B Electronic社 積層造形担当スペシャリストのThomas Weinmann氏は語ります。

H&B Electronic GmbH&Co.KG

www.h-und-b.de

H&B Electronic社は1984年に、電気機械部品メーカーとして創業しました。H&B社はシュヴァルツヴァルト(黒い森)北部末端に約13,500m²の敷地面積を有するデッケンプフロン(Deckenpfronn)工場で、顧客の仕様に合わせて各種寸法に対応し高精度の精密部品、コネクターシステム、コンポーネントの開発・製造を行っています。30年にわたり、同社はオーナー経営により継続的に成長してきました。

業界
エレクトロメカニクス・産業用エレクトロニクス・医療技術向け部品
従業員数
340
事業拠点
ドイツ・デッケンプフロン(Deckenpfronn)
TRUMPF製品
  • TruPrint 5000
アプリケーション
  • 射出成形金型用金属積層造形

課題

H&B社では340人ほどの従業員が、射出成形で自動化技術向けのプラスチック筐体などを製造しています。射出成形されたプラスチック筐体は、その外観も重要です。H&B社のオーダーで製造されたアクチュエーター/センサーボックスではたとえば、透明なプラスチック製の窓の後ろにダイオードが配置されています。金型はこの場合、製造時にプラスチックが制御され均一に熱を放出して素早く冷却できるよう、コンターに近い多数のフィリグリー冷却経路を必要とします。この用途で用いられる種類のプラスチックは、冷却に時間がかかると乳白色に変化してしまうからです。「できるだけ早く均一に」が、射出成形における冷却の一般的なルールなのです。均一性は品質向上に直結し、冷却スピードはサイクルタイムを短縮させ、その結果、単価コストを下げることにつながります。

以前、同社はコンター付近の温度制御なしで金型を使用していましたが、窓は曇り、不良率の高さに何度も悩まされきました。H&B社のツールスペシャリストは、以前から各種工具でコンター付近の焼戻しによるインサート造形を使用してきましたが、L-PBFプロセスで使用可能な時効鋼、特に1.2709には満足していませんでした。このような経緯で、工具メーカーの間ではよく知られ評価の高い熱間工具鋼1.2343を採用し、社内の3Dプリンタによる積層造形に頼ることにしたのです。

時効鋼(1.2709)と比較して、調質鋼H11(1.2343)には、摩耗耐性・熱伝導率・熱間硬度・耐熱性・研磨性など、いくつかの利点があります。調質鋼の最終的な材料特性は調質により調整されるので、金型製造用途により適しています。しかし、炭素含有量が高いことから溶接性に劣るため、用いるL-PBFプロセスに高い要求が課されます。

ハイブリッド製造のパーツにより、造形にかかる時間が大幅に短縮され、そのコストも削減できるようになります。当社が運用している最初のツールコアでは、造形にかかるコストを42%ほども削減できる見込みです。

Thomas Weinmann
H&B Electronic社 積層造形担当スペシャリスト

ソリューション

そこで、TRUMPF TruPrint 5000が、500°Cの予熱により炭素工具鋼(1.2343など)の加工安全性を実現するという大きな役割を果たすことになります。TruPrint 5000は基板プレートを500°Cに加熱し、積層造形中もプレートと印刷基板をこの温度に保ちます。これによって、レーザ光による粉末溶融後に、硬くて脆いマルテンサイトが形成されてしまう温度以下に固化材料の温度が下がるのを防ぐことができます。予熱能力が200°Cの市販の3Dプリンターでは、このような温度勾配の格納には対応しきれず、 最悪の場合ひび割れだらけで使い物にならない部品に仕上がってしまいます。

Thomas Weinmann氏は、思いがけないメリットを喜び、「積層造形(部分的に生成された溶融槽、下層の複数の部分的再溶解、レーザ軌跡の層状の回転)により、従来のエレクトロスラグ再溶解法(ESR)工具鋼と同様の微細金属組織が得られます」と語っています。

 

実行

積層造形は、従来の減法的製造プロセスでは限界がある場で活躍します。プレフォームベーシックオプションにより、H&B社は両プロセスそれぞれのメリットを組み合わせることができるのです。例に、H&B社製ツールコアには下部領域に垂直上方に移動する焼戻しチャンネル部分があり、この領域でも従来通りの穴あけが可能です。しかし、隅の周囲に穴を開けることができないため、その後の焼戻しチャンネル部分は積層造形による製造が必要になります。

H&B社は、ツールコアを従来から減法的製造によるベースプレートを使用して製造しています。3Dプリンタにセットアップされたベースプレートと造形される形状の位置調整は、プリンタの内蔵カメラにより行われます。ベースプレートが複数セットアップされている場合には、各部品の位置調整を個別に行えます。そうして続いて、積層造形が行われます。「この方法でなら、ハイブリッド製造のパーツにより、造形量が大幅に削減されるので造形にかかる時間が大幅に短縮され、そのコストも削減できるようになります。」 当社が運用している最初のツールコアでは、造形にかかるコストを42%ほども削減できる見込みです」と、Thomas Weinmann氏は語ります。

Thomas Weinmann氏と同氏率いるチームは、プレフォーム上で造形する際にもうひとつの重要な点にも細心の注意を払いました。そのもうひとつの点が、従来から製造されているベースプレートと積層造形部品との間の完璧な材料結合です。「当社は1.2343 ESR工具鋼のベースプレートで積層造形を行っています。顕微鏡で確認しても、隙間や亀裂などは検出できません。なので私たちは完璧なハイブリッド素材を使って部品を製造しているのです」と、同氏は説明します。

3Dプリンタにより、プロセス熱を均質かつ迅速に除去するために必要となるコンターに近い部分での冷却はもう問題ではなくなっています。このテクノロジーを使えば、従来では考えられなかったような、ほとんどどこにでも敷設可能なダクトが実現できるからです。  従来では、このようなツールコアを実現することは不可能でした。保守的な側面が強い金型技術では生産できなかった、あるいは品質を落としての生産を余儀なくされたプラスチック成形部品さえ、この技術を使って生産することができるのです。

展望

H&B社の品質とコスト効率への要求、これを満たしたのがTruPrint 5000でした。代表取締役Hans Böhm氏は次のように語ります。「このような投資には慎重な検討が必要です。ですが私たちは、係る技術に精通しているわけで、他愛もないことだと思っていました。私たちは、金属積層造形に大きな可能性を見据えており、 当初、コスト以上に品質を重要視していました。」そう同氏が考えていたところ、導入テクノロジーと、さらにTruPrint 5000がすべてを覆しました。普通の金属ではなく工具鋼を扱うためです。HB Electronic社での積層造形による金型製造が、初期のテクノロジーの飛躍から、近い将来に新たな柱へと発展するのは同氏にとって結果論的な話だったのです。その第一歩がここで踏み出されたのです。

製品に関する詳細情報

TruPrint 5000
TruPrint 5000

生産性の高い半自動3DプリントシステムTruPrint 5000は、工業用連続生産に適しています。オプションの500 ℃予熱や3体の500 W TRUMPFファイバレーザーから成るフルフィールドマルチレーザー装備などの機能により、極めて要求の高い工業用アプリケーションに完璧に対応することができます。このマシンは様々な金属材料から高品質部品を迅速かつ確実に製造するのと同時に、プレフォームブランクで積層造形を用いた金型/モールド製造、航空産業並びに医療技術で求められる高い品質要件を満たします。

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発行:2023年9月26日