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瞬く間にデジタル化を実現

MERZ GmbHの責任者の方々は、垂直統合の度合いが高いことを誇りに思っています。それには特に自社での板金加工が寄与しています。MERZでは、移動型配電機器、点検・接続・給電装置ならびにスイッチの複雑な内部構造に加えて、そのハウジングも提供しています。約110人の従業員が3シフト制で、毎日約10~15トンの薄板を加工しています。2015年、生産が能力的にも組織的にも何度も限界に達した際、ティム・ウンゲラー部長は、包括的なオートメーション・デジタル化措置が不可欠であることに気づきました。そして、TRUMPFにプランニングのサポートを依頼しました。所有機械を刷新し、完全自動型STOPAストレージを設置することに加えて、生産制御ソフトウェアOseonを導入して、生産能力の更なる向上を目指すことになりました。

1946年、グスタフ・メルツ氏はMERZ Schaltgeräte- und Apparatebaufabrikをガイルドルフに設立しました。その後、同社は長年にわたって成長し続け、移動型配電機器、点検・接続・給電装置ならびにスイッチの主要メーカーにまで上り詰めました。2005年以降、MERZはオーストリアに本社を置くグローバル企業PCEグループの傘下に入っています。MERZは2つの子会社Merz Schaltgeräte GmbH & Co. KGとMoser Systemelektrik GmbHと共同で幅広い製品ラインナップを提供し、市場で確固たる地位を築き上げています。MERZでは垂直統合の度合いが高くなっていますが、それには特に自社での板金加工が寄与しています。

業界
移動型配電機器、点検装置、板金加工、スイッチ、接続装置
従業員数
160
事業拠点
ガイルドルフ(ドイツ)
TRUMPF製品
  • TruBend Center 7020
  • TruMatic 5000
  • TruMatic 6000
  • STOPAストレージ
  • TruLaser 3030
  • TruLaser 5030 L68
  • TruBend Cell 7000
  • TruBend Cell 5000
  • TruBend 7036
  • TruBend 5085
  • Trubend 5130
  • TruBend 5230
アプリケーション
  • レーザ切断
  • 曲げ加工

課題

MERZの板金加工現場ではスピードが求められています。ティム・ウンゲラー部長とそのチームは、社内の様々な部署だけでなく、MERZのことを信頼性の高いジョブショップとして評価している社外のお客様にも製品を提供しています。「当然のことですが、誰もが自分のオーダーをまず最初に処理してもらいたいと思っています。当部署が生産する部品の多くは、それより大きい製品の一部ですから。納期を守らないと、ペナルティが科されてしまします」とウンゲラー部長は説明しています。薄板の毎日の処理量は以前は3トンでしたが、多品種で、ロット数が1から1,000まで様々であったため、生産現場はてんてこ舞いになることが多々ありました。「大抵は大声で指示を出していました。透明性のかけらもありませんでした。 これは従業員にとってストレスであっただけでなく、私にとっても本当に苛立たしい状態でした」とウンゲラー部長は過去を振り返り、次のように付け加えています。「根本的な決断を下して、将来においても効率的に作業できるようにする必要に迫られていました。」 それを受けてMERZ GmbHの経営陣は、生産現場を未来に対応できるようにすることを決断しました。まず最初に、新型マシンと完全自動型STOPAストレージが設置されました。ですが、真のゲームチェンジャーとなったのは、TRUMPFの生産制御ソフトウェアOseonの導入でした。

マテリアルフローのあらゆる情報に携帯端末からアクセスできることにより、全従業員の日々の業務効率がアップしています。

Tim Ungerer
MERZ GmbH シート技術製品管理部門長

解決策

TRUMPFが広範囲にわたる調査と分析を行った後、MERZ GmbHはまず最初に最新の完全自動型マシンに投資しました。このマシンを工場に設置する際は、後でSTOPAフルオート高層ラックに連結できるように配慮されました。ティム・ウンゲラー部長は、マシンとストレージの連携に最初から感銘を受けており、「以前はさしたるオートメーションはありませんでした。高層ラックを導入したことで、必要な柔軟性がようやく得られるようになりました」と述べています。そして同氏は、マシンのローディング・アンローディングに従事する従業員数を半減し、作業者を別の仕事に回せるようになっています。これは生産性の大幅な向上とリードタイムの短縮につながっています。「高層ラックでの整然とした効率的なマテリアルフローを、生産フロアでも実現したいと考えました。それには、ソフトウェアの導入が不可欠でした」とウンゲラー部長は説明しています。そして、充実したパッケージが魅力のTRUMPFの生産制御ソフトウェアOseonを導入することが決まりました。

Oseonでは、作業準備と生産プランニングに始まり、TruTops Boostによるオーダーの自動プログラミング、そしてオーダー完了を伝えるデジタルメッセージに至るまで、各プロセスステップが制御されます。各ワークステーションに設置されたタブレットを使用して、従業員は各作業ステップを最初から最後までアプリに登録することができます。「どの情報にもモバイルアクセスできるため、従業員にとって日々の作業が楽になっています。私には、いつでもボタンを押すだけでオーダーの進捗状況と完了時点を把握できることがメリットになっています」とウンゲラー部長は喜んでいます。

非常に短い期間のうちに、高層ラックによるオートメーションと生産フロアでの生産制御がもたらすメリットがうまくかみ合うようになっています。「以前の薄板の処理量は毎日3トンでしたが、現在の生産能力は10~15トンにまで増加しています。これは目を見張る数字だと思います」とのことです。Oseonを導入したことで、プロセスの効率が上がり、透明性が得られるようになっただけでなく、各ワークステーションで取得される豊富なデータを通して、改善の余地も示されるようになっています。「当部署では、曲げステーションがボトルネックになっていました」とウンゲラー部長は以前の状況について触れた上で、「それが今ではOseonを導入したことで、曲げ加工用の共用資材を管理できるようになっています」と続けています。そこでは、すべての曲げ加工オーダーが集められ、同部長は各曲げ加工担当者に数週間にわたって生産用予備材を割り当てることが可能になっています。 そして、「このおかげで、この作業ステップがとても計画しやすくなり、効率も上がっています」と満足しています。

 

実行

「このソフトウェアを出来るだけ短期間で導入したいと考えていました」とティム・ウンゲラー部長は述べて、次のように付け加えています。「それが上手くいったのは、従業員が最初からこのプロジェクトをバックアップしてくれたからです。」広範囲に及ぶ変更であったため、全員に相当な努力が求められました。「すべてのプロセスが変わりました。そのため、考え方をガラリと変える必要に迫られました」とウンゲラー部長は当時を回顧しています。「ですが、6か月間歯を食いしばって頑張った結果、週を追うごとに成果が非常に高まるようになりました。これは全員にとって大きなモチベーションになりました。」

ウンゲラー部長によれば、TRUMPFのソフトウェア・プロセスエキスパートの努力も成功要因のひとつであったとのことであり、「期間全体にわたってこちらをサポートしてくれて、すべてが上手くいくまで色々な調整や改良を加えてくれました」と述べています。同氏ほど、プロセスとは生き物のようなものであり、常に継続する必要があり、終わりは絶対にないことを理解している人物はいません。そして笑みを浮かべながらこう話しています。「TRUMPFのエキスパート用にまだ車1台分の駐車スペースが確保されてはいますが、 最近では従業員が新しいプロセスとプログラムに上手く対応できるようになっていますし、多くの作業が簡単になり、すべてが分かりやすくなったことを皆が喜んでいます。」

展望

ティム・ウンゲラー部長は既に次のステップについても考えを巡らしており、無人搬送システム、バッファストレージの廃止、所有マシンの継続的検証と最適化が最優先課題になっています。「理想的な生産体制を構築するには、新しい物事を受け入れる姿勢が常に必要ですが、私には、TRUMPFのようなパートナーと共同でそうする心構えができています。」

製品に関する詳細情報

TRUMPF Oseonのキービジュアル
Oseon生産管理

生産現場では様々な場所で情報が発生します。ソフトウェアOseonを使用すると、ユーザーは適時に適切な場所でユーザー固有の関連情報をすべて受け取ることができるようになります。これを実現するために、Oseonには板金プロセスチェーンの生産制御とロジスティクスシステムの利点が組み合わされています。標準インターフェースが搭載されているため、既存の設備、オートメーション、システムとの統合を簡単に行うことができます。結果として、生産チェーン全体に沿ってシームレスな情報の流れがもたらされます。

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2023年9月27日現在