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歯科用3Dプリントの品質と効率を高めるパイオニア

スイスのベットラッハにあるSwiss m4m Centerは、2019年に医療用途向けの積層造形センターとして設立されました。2021年初頭から、ISO規格 13485:2016(医療機器品質マネジメントシステムの国際規格)に基づき、公式に認定されています。これは、高い能力を有し、安全な製造プロセスを確立し、高品質の製品を提供する企業にのみ与えられる認定です。同社は、2022年に、歯科用半製品の製造にも参入しました。Swiss m4m Centerは、この分野の顧客である歯科技術ラボや歯列矯正専門のラボに、検証された環境での製造サービスのほか、技術移転やノウハウ提供も行っています。積層造形に参入を希望する会社であれば、代表取締役のニコラス・ブドゥバン氏率いるSwiss m4m Centerチームによる積極的なサポートを受けられます。必要に応じて、トレーニングや設備投資に関するアドバイス、スムーズな製造チェーンの構築支援などが提供されます。当該サービスを利用するラボは、Swiss m4m Centerの専門知識はもちろん、マシンメーカーのTRUMPFをはじめとする多くの同社パートナーのノウハウも活用できます。

Swiss m4m Center

www.swissm4m.ch

スイスのベットラッハにあるSwiss m4m Centerは、医療・歯科技術・歯列矯正用途向けの積層造形センターです。同社はまた、医療技術や歯科業界の顧客による積層造形への参入を促す技術移転センターとしても機能しています。2020年末に、連邦経済教育研究省下の教育研究イノベーション局(SBFI)がSwiss m4m Centerを「国家的に重要な研究機関」に分類しました。

業界
医療 / 歯科技術
従業員数
8
事業拠点
ベットラッハ (スイス)
TRUMPF製品
  • TruPrint 2000
  • TruPrint 1000
  • TruMark
アプリケーション
  • 積層造形
  • レーザマーキング
  • 部品・パウダー管理

課題

スイスのデンタルラボの構造は現在かなり小規模となっています。純粋なアナログ加工作業の割合は今日でも驚くほどの多さです(2021年業界統計では60 %弱)。その一方で、将来的にはより一層デジタル製造プロセスに頼るべきだという圧力が確実に高まっています。そのため、国内で専門作業員の人手不足が深刻化する中で、ラボの管理層やオーナーの高齢化という危険が指摘されています。他方、患者はますます費用を気にかけるようになりながらも、品質とタイムリーな対応への要求は依然として高いままです。したがって、デンタルラボの大きな課題として、高品質の歯科修復物や歯科矯正用パーツをできる限り効率的かつよいコストパフォーマンスで製造することが挙げられます。

これぞまさしく、積層造形が基本として備えている特徴です。金属粉体のレーザ溶融による部品製造を行うレーザーメタルフュージョン技術といった最新設備を用いれば、短時間で多くのパーツを製造できます。コンポーネントの形状に関していえばユーザーにほとんど制限はありません。実装済みのプロセスチェーンが安全かつ問題なく機能する限り、高い品質の表面と部品を製造できます。つまり、新規参入者が克服しなければならない一番のハードルにすでに対処しているといえます。すべてのコンポーネントのセットアップと、安定した品質を提供する安全な生産プロセスの確立には、時間も労力もかかるからです。初期投資コストに加えて労力もかかる。それが、多くのラボのオーナーが、高齢であれば尚更、金属製の歯科用半製品の積層造形を躊躇する要因となっています。

設備投資を断念してしまった場合でも、積層造形による半製品を諦めることはありません。高品質のコンポーネントを迅速に納入できる頼れるパートナーを見つけることが重要です。

ニコラス・ブドゥバン
ニコラス・ブドゥバン、Swiss m4m Centerの経営責任者

ソリューション

ここでSwiss m4m Centerは各種サービスを提供しています。同社は歯科・歯列矯正専門のラボに代わり、鋳造模型補綴物、複雑な(インプラント)補綴物修復用ガントリ、トランスパラタルアーチ・GNE・ハーブスト装置などの歯列矯正用パーツをクロムコバルト合金あるいはチタンから製造しています。通常、このためにデジタルモデルペアのみが提供され、設計と製造はSwiss m4m Centerで行われます。積層造形システムへの投資を断念するラボであっても、このようにして、このテクノロジーや関連する製造品質を活用することができます。

金属製歯科用コンポーネントの積層造形に参入しようと計画している会社は、それが開始段階からであってもあるいは後々の参入であっても、適切なサポートを受けられます。「こうした投資が経済効率の面から価値を見いだされるためには、膨大な量の生産が必要になりますが、スイスでも数少ないデンタルラボしか達成していません。革新を続け技術設備をもって社を広めたいという考えであれば、積層造形分野への投資はたとえ少量生産でもする価値があります」と、ニコラス・ブドゥバンは語ります。この技術移転は、同氏にとって行われて然るべきことなのです。

 

実行

自社製造センターでもラボでも、安全なプロセスチェーンを構築するためにまずはマシンを選ばなければなりません。加工安全性のために、常に材料に応じてマシンを使用しなければなりません。つまりは、材料ごとに、設備が1つ必要になるということです。そのうえで、必要なコンポーネントを組み合わせていきます。品質構造が確立され、チームがそのテクノロジーを習得しさえすれば、先に述べた市場のニーズを満たすという点でスピードを最適化できます。

Swiss m4m Centerでは、チタン製の歯科用コンポーネントの製造のために、MYSINT100 (Sisma)システムを筆頭とする2020年にすでに確立されたプロセスチェーンが用いられています。クロムコバルト合金の加工のために、同社は2022年秋に、2022年11月には世界初だとして発表されたTRUMPFのTruPrint 1000を導入しました。「新設備の大きな強みは、達成可能な部品品質、多用途性、ニーズに合わせて装備を調整させられるという利便性にあると私は考えます」と、ニコラス・ブドゥバン氏は述べます。TruPrint 1000は直径98.5 mmのビルドプラットフォームを搭載し、多岐に渡る装備オプションによりユーザーのニーズに合わせて装備を調整できます。一つのプラットフォームで最大64本のインプラントアバットメントを製造するプレフォームオプションや、ハイブリッド製造オプションにより応用範囲はさらに広がります。後者のオプションは、フライス技術でプリント部品を嵌め合わせる面を後加工することができます。その一方で、オーダー数量が増加した場合には、TRUMPFのファイバーレーザ2台とマルチプレートにより、粉体を同時に露光するためのマルチレーザオプションを後付けするということも可能です。マルチプレートは最大4枚のビルドプレートを引き受け、フルオートで交換を行い、完成したプレートをオーバーフローコンテナにて回収します。そうして、夜間や週末であっても大量のオーダーに対応することができます。

「当初、設備はTruPrint 1000のベーシックバージョンに投資しましたが、オプションを順次増やしていくために、今年はプレフォーム装置パッケージを導入しました」とニコラス・ブドゥバン氏は述べます。同氏は次のように付け加えています。「プロセスチェーンのコミッショニングと確立はまったく問題なく完了しました。これは、当社がすでに、機器製造に使用されるTRUMPFのTruPrint 2000でレーザメタルフュージョンに関する経験を多く積んでいることも関係しています。TRUMPFというメーカーは会社もまたその特殊な設備も、高品質な部品をたとえ初心者でも簡単に製造できるように必ずしてくれます。」

展望

既存のプロセスチェーンが問題なく機能している間も、Swiss m4m Centerチームはスピードと製造品質をさらに高める方法を検討しています。そのうえで、生産チェーン全体の自動化度をより高い段階へと進化させることを目指しています。このようなタスクを、TRUMPFが歯科用製品の加工に関するノウハウを持った信頼できるパートナーとして同社チームのそばで支えます。ニコラス・ブドゥバン氏はこの協力により、プラスチックと金属を組み合わせた造形といったこれまでにない新しい構想を取り入れた開発も視野に入れています。「これに関して、先に進める制限要因となっているのは素材の開発です。規制要件を満たす材料の開発は長い道のりです」と、同氏は言います。だからこそSwiss m4m Centerでの取り組みは飽きがこないのです。

当社製品に関する詳細情報

TruPrint 1000、コンパクトで堅牢な3Dプリント
TruPrint 1000

次世代TruPrint 1000を導入することにより、さらに高い生産性と積層造形の高い品質を実現し、フットプリントを最小限に抑えられるというメリットを得られます。

コストを抑えてプレミアム品質での積層造形を実現するTRUMPFのTruPrint 2000
TruPrint 2000

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