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Dr. Manuel Thomä

「ザ・キャンドル」:TRUMPF、GLOWライトアートフェスティバルに参加して記念レーザで祝う

界中のハイテク企業に製品を提供しているドイツのレーザ専門企業TRUMPFは、今年設立100周年記念を祝っており、GLOWフェスティバルでショーレーザを照射することにしました。このレーザは、天気が良ければアイントホーフェンから半径80キロメートル以内の地域で見ることができます。

2023年11月11日から18日にかけてオランダのアイントホーフェンで開催されるGLOWライトアートフェスティバルでは、世界でおそらく最も長いバースデーキャンドルに火が灯ります。 これは、ドイツのハイテク企業TRUMPFが設立100周年を記念して行うアトラクションであり、世界で最も強力な部類に入るショーレーザを空に向かって放射することになっています。同社のエンジニアはこのアトラクションに向けて、ショーレーザメーカー「Lightline」と共同で、産業用高出力レーザをイベントレーザに改造しました。「このフェスティバルと当社の設立記念を機に、従業員、パートナー、お客様、そしてアイントホーフェン市ブレインポート地区の住民の皆様に喜びを提供をしたいと考えました。このレーザはエネルギーをほとんど消費しませんが、私たちの調査によれば、世界最強のショーレーザ光線です」と、フィリップ・バートルト・プロジェクトリーダーは述べています。

TRUMPFにとって重要なオランダ市場

家族経営企業TRUMPFの直近の従業員数は約18,400名に上り、売上高は54億ユーロに達しています。同グループは、ほぼ全てのヨーロッパ諸国、北米、南米、アジアに80以上の現地法人を有しています。同社は世界トップレベルのレーザメーカーとして、オランダのASMLに最先端のマイクロチップを製造するためのEUVリソグラフィ用高出力レーザを供給しています。それに加えて、TRUMPFはアイントホーフェンでフォトニクスチップを開発・販売しており、これはスマートフォンなどで使用されています。また同社はオランダで、デジタルネットワーク型板金加工マシン・装置のトップメーカーのひとつに数えられています。ショーレーザは、アイントホーフェン北西部にあるTRUMPF拠点に配置されています。気象条件と空の交通に応じて、このレーザはライトアートフェスティバル期間中の数日に点灯されることになっています。約10キロメートルの高さに照射されるグリーン光線は、半径80キロメートル以内で見ることができます。

わずかな消費電力

緑色の光は出力3キロワットのレーザによって発生します。「これはエネルギー効率が非常に高いレーザです。このレーザが1時間に消費する電力量は、8人が同時にヘアドライヤーを使用する場合とほぼ同じレベルです」とバートルト・プロジェクトリーダーは述べています。このプロジェクトには、レーザの専門家、安全性の専門家、設計担当者とその他の専門家約35人が参画しています。このようなレーザを運転するには、TRUMPFが提供するレーザノウハウに加えて、特殊な知識が膨大に必要になります。例えば、領空を監視して、空の交通に危険が及ばないようにする必要があります。その役割と実際の運転は、このプロジェクトではショーレーザ企業であるLightlineが担当しています。Lightlineは、ショーレーザ技術に関して30年以上にわたって世界中で経験を積んでおり、要件の高いレーザアプリケーションに特化しています。Lightlineの顧客には、エンターテイメント業界の世界的に有名な大企業が含まれています。


最初の点火:バースデーレーザは、ハイテク企業TRUMPFの設立記念日に当たる2023年8月6日に、ドイツのディッツィンゲン本社で初めて点灯しました。

TRUMPFメガレーザに関する最も重要な質問と回答

レーザが照射される高さは?
高さ10キロメートルでも、レーザは依然としてはっきりと見えます。それより高くなると、空気内の粒子が減るため、光線は弱くなり始めます。

レーザの色がグリーンである理由は?
TRUMPFがグリーンレーザのトップメーカーの一社だからです。このレーザは、特に自動車業界で電気自動車の部品製造用に使用されています。

このレーザが消費する電力量は?
このレーザが消費する電力量は、8人が同時にヘアドライヤーを使用する場合とほぼ同じレベルです。

レーザ光の太さは?
レーザ装置から放出される時点でのレーザ光の幅は約2センチメートルです。

レーザが時々オフになる理由は?
航空機が近づくと、独自に設置したレーダー装置がそれを検知して、レーザがオフになります。

航空機のパイロットが眩惑される可能性は?
TRUMPFはこの危険がないことを何度も確認しています。レーザは垂直に上に向かっています。航空機がレーザの真上を飛び、その瞬間にパイロットが下を見ることは、そもそもほとんどあり得ないと考えられます。またTRUMPFは、このレーザを所轄の航空局に届け出ています。相応のシステムを搭載している飛行機とヘリコプターでは、このレーザは地図上で障害物として表示されます。それに加えて、2つのレーダーシステムが領空を監視しています。航空機が近づくと、レーザがオフになるようになっています。

レーザが転倒した場合は?
二重の安全機構が用意されています。まず、レーザはある構造物にしっかりと固定されています。本来はあり得ないことですが、それでも万が一この構造部が転倒した場合は、保護ハウジングの出番になります。レーザはその周囲に設置された鋼板に当たることになります。なお、Lightline社の従業員2人がレーザを常時監視しており、各種の非常停止ボタンを使用して、いつでもレーザをオフにできるようになっています。

このレーザに要した費用は?
出力3kWのこのグリーンレーザの費用は数十万ユーロです。

作成日 2023/11/08
その他参考情報
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