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Sabrina Schilling

4本のレーザ光を突破口にして、車体部品の溶接効率を高めているGestamp

ペインに本社を置く多国籍自動車部品サプライヤーGestampとTRUMPFが共同開発した革新的な産業用レーザ溶接プロセスは、構造部品製造の速度、効率と品質で新しい基準を打ち立てています。

現在では、車両に対する要件が高まっています。コンポーネントの軽量化、製造効率の向上、投資コストの削減が求められている一方で、特に車体製造では、生産プロセスが益々複雑になっています。 スペインに本社を置く多国籍自動車部品サプライヤーGestampはこの課題に取り組み、TRUMPFと共同で、革新的な産業用レーザ溶接プロセスを開発しました。このプロセスでは、従来の工法では限界に達してしまう工程、すなわちコーティングされた大型構造部品の柔軟な高速接合がポイントになっています。 「当社では、単部品を多数使用する代わりに大型構造部品を採用して、産業プロセスを簡略化しています。そうすることで、最終組み立て工程での複雑度を減らし、機械資源とマンパワーを節約し、コストを削減しています」と、ミゲル・アンヘル・フェランデスGestamp東京 & ビルバオ接合技術部長は述べています。




大型構造部品を採用する理由

自動車生産では、車両で必要な部品数が少なければ少ないほど、生産効率が高まると言われていますが、Gestampではこの戦略を、Ges-Gigastamping®製品群と呼ばれる大型構造部品を、高強度鋼を温間プレス成形して生み出すことで、徹底的に実行しています。 この部品には、重量、安定性と衝突安全性に関して非常に大きな利点がある一方で、接合プロセスに対する要件が高くなっています。「この課題は、材料の時点から始まっています」とフェランデス部長は説明しています。「当社では、プレス硬化鋼にアルミニウムと珪素(AlSi)をコーティングしています。これは部品を腐食から保護するのですが、溶接が非常に困難になってしまいます。従って、従来の溶接工法の代わりに産業用レーザ溶接プロセスを導入して、速度と柔軟性を高めることが必要になったのです。」

Gestampでは、プレス硬化鋼にアルミニウムと珪素(AlSi)をコーティングしています。これは部品を腐食から保護するのですが、溶接が困難になってしまいます。

コーティングされた大型構造部品の柔軟な高速接合を目指して、GestampとTRUMPFは産業用レーザ溶接プロセスを共同開発しました。

多国籍自動車部品サプライヤーGestampのミゲル・アンヘル・フェランデス東京 & ビルバオ接合技術部長は、大型構造部品を採用して産業プロセスを簡略化することに取り組んでいます。

難点となった保護層

そこでは、Gestampが既に開発済みであった新しいレーザ溶接プロセスG-Weldがベースになりました。このプロセスの中核となっているG字型の重ね溶接ビードは、重ね合っているブランク材専用に開発されたものです。この溶接プロセスでは、他の工法よりも効率とビードの安定性が高く、最大5倍の溶接速度が実現します。ただし、レーザ溶接ではスポット溶接の場合とは異なり、接合前にAISiコーティングを除去することが必要になっていました。このプロセスステップを追加すると、時間の節約が無駄になってしまうため、GestampはTRUMPFのレーザエキスパートに相談を持ちかけました。 「コーティングを上流のプロセスステップで除去することなく、部品を確実かつ効率的に溶接することを目指していました」とフェランデス部長は述べています。「プロセスをスリム化して部品品質を高めるには、それが不可欠だったからです。」

違いをもたらすマルチフォーカス

コーティングされた部品のレーザ溶接での課題は、異種材料同士の接合ではムラが出てしまうことにあります。溶融時に結晶構造であるフェライトが形成され、溶接ビード品質に悪影響が及んでしまうからです。「解決の鍵はビームシェイピングに、Gestampの場合ではオプションマルチフォーカスでの要件にあります」と、TRUMPFでモビリティ部門グローバルビジネスデベロップメントマネージャーを務めているマーク・フメルは説明しています。オプションマルチフォーカスでは、レーザ光が4本のビームに分割され、エネルギー入力量が四等分されます。各ビームはコアビームとリングビームから構成されています。後者の追加エネルギーによって溶融池が「落ち着く」ことで、スパッターの発生が防止されます。4本のビームがAlSiコーティングを溶融池で意図的かつ均一に混ぜ合わせることで、フェライトの形成が防止されます。その結果、強度と引張強度の高い安定したビードが生み出されます。「生地を混ぜるのと似ています」とフメルは述べています。「攪拌機が生地をまんべんなく混ぜれば混ぜるほど、ダマの発生が防止しやすくなるのと同じです。」

オプションマルチフォーカスでは、レーザ光が4本のビームに分割され、エネルギー入力量が四等分されます。そして、AlSiコーティングを溶融池で意図的に混ぜ合わせることで、強度と引張強度の高い安定したビードを生み出すことが可能になります。

レーザの利点の一つとして、片側だけを溶接することが挙げられます。そのため、表面が半分見えているというメリットが得られています。ビードの見分けがほとんどつかないほどです。

TRUMPFのビームシェイピングを利用することで、溶接速度が大幅に上がり、ビード品質も高まっています。そして、大型構造部品では重要なことなのですが、レーザではプロセス速度の維持とアクセス性の向上が得られています。

様々な利点

新しい、そして特に産業用途に適したこの工法は、Gestampに一連の利点をもたらしています。フェランデス部長は次のように総括しています。「TRUMPFのビームシェイピングを利用することで、溶接速度が大幅に上がり、ビード品質も高まっています。そして、大型構造部品ではとても重要なことなのですが、レーザを使用することで、プロセス速度を維持しながら、アクセス性を著しく高めることに成功しています。しかも、溶接が部分的であるため、表面が半分見えているというメリットも得られています。ビードの見分けがほとんどつかないほどです。」

同じ目線に立ったパートナーシップ

新しい溶接プロセスは、現在では社内で検証済みになっています。フェランデス部長はこう明言しています。「TRUMPFとの密接な協力関係が決定的な要因でした。最初から、TRUMPFは単なる技術提供業者以上の存在でした。共同開発したソリューションには、構造部品製造を根本的に変える可能性が潜んでいます。」

Gestampについて

Gestampは、自動車部品サプライヤー業界を代表する多国籍企業であり、高度に技術化された金属コンポーネントの開発製造に特化しています。24か国の115か所に生産拠点を有し、43,000人以上の従業員を抱える同社では、イノベーション、サステナビリティと優れた業務遂行能力を重視しています。世界中の13か所のR&Dセンターで、未来のモビリティの象徴となり、車両の安全性とサステナビリティの向上ならびに軽量化につながるソリューションを開発しています。

作成日 2026/03/19
その他参考情報
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