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4Jet Lasertechnologie
Gabriel Pankow

サメ肌から得られたアイデアをレーザで実現

4 Jetではサメ肌の原理を航空機の主翼に応用して、極小構造を塗装に施すことで、CO2排出量とケロシン消費量の削減を目指しています。

サメを撫でたことがありますか?触り心地はザラザラしていますが、その理由は、特別な溝が付いた極小の鱗で全身が覆われているからです。 見た目はあまり華々しくはありませんが、水流に関してサメに大きなメリットをもたらします。鱗の溝から成る微細構造があることで、体に沿って発生する水流の渦が大幅に抑えられ、体力を消耗しなくて済むようになります。その結果、抵抗とエネルギー消費量が減り、速度が上がり、時速70 km以上のスピードで水中を勢いよく進むことが可能になります。

塗装に直接施す

ミヒール・トップ氏は、自分でサメ肌に触れたことはまだありませんが、近いうちにサメ肌と同じ構造を航空機部品に施すことを目指しています。 9人のメンバーと一緒に、同氏はレーザ設備メーカー4JetのLEAFプロジェクトでプロダクトデベロッパーとして働いています。このプロジェクトの目標は、航空機の外板をサメ肌のようにすることにあります。水中で上手くいくことは、空中でも上手くいくはずであり、微細構造を利用すれば、空中でもエネルギー消費量を、すなわちケロシン消費量を削減することができるからです。 そのため、一部の航空会社は既にこの構造のフィルムを機体に貼り付けています。4Jetもそのようなフィルムを開発していますが、長期的に見た場合はそれよりも優れた方法があると考えています。トップ氏はこう説明しています。「当社では、リブレットと呼ばれる小さいV字型の溝を塗装に直接施しています。それにより、摩擦抵抗を最大10パーセント低下させることができるのですが、これは航空機の総抵抗の約50パーセントに相当しています。 つまり、航空機全体にこの構造を施せば、1回のフライトにつき燃料を3~4パーセント節約することができるのです。」航空機の平均使用年数は約20年で、通常は7年ごとに塗装を新たに施す必要があるため、寿命全体にわたって計算すると、燃料消費量とCO2排出量の膨大な削減が可能になることになります。

4Jet Lasertechnologie

2本のレーザ光が干渉することで、肉眼ではほとんど見えない極小のV字型の溝が表面に生み出されます。

4Jet Lasertechnologie

完全に平坦ではない航空機の表面にもストラクチャリングを確実に施せるように、4Jetでは極めて深い被写界深度を選択しています。

4Jet Lasertechnologie

リブレットと呼ばれるV字型の溝が、塗装に直接施されます。これにより、総抵抗が50パーセント低下し、燃料の膨大な節約につながります。

極小のリブレットを帯状に生成

ところで、航空機の重量増につながり、最終的にはゴミになってしまうフィルムが使用されているのはなぜでしょうか。その理由は、面積が何百平方メートルにも及ぶ航空機の塗装に、完璧に機能する微細構造を短時間で施す方法がこれまでは存在していないからです。できないし、方法がないので仕方がない、ということです。 ですが4JetのLEAFチームは、それに対して「できないということはない!」という姿勢で取り組んでいます。 LEAFは、Laser Enhanced Air Flow(レーザによる気流改善)の略語です。10年前に立ち上がったこのプロジェクトでは、意欲的なアイデアを追求しています。そこでは、レーザ干渉と呼ばれる物理現象を利用して、表面のストラクチャリングを行っています。4Jetでは特殊な光学系を使用してレーザ光を分割した後に、それを再び結合して、両方のビームが重なり合い、相互に影響を及ぼし合うようにしています。この相互作用により、強度が異なる特徴的なパターンが生み出され、それを利用すれば、表面構造を極小レベルで変化させることが可能になるのです。

4JetでLEAF装置を担当しているルーカス・マイ氏は、次のように説明しています。「当社では、幅100 µm、深さ50 µmのリブレットから成る構造を生み出しています。 そしてこの精緻な微細構造を、面積400平方メートル強の主翼に均等に施しています。」従って、塗装の加工は点状ではなく、大きめの帯状に行われており、同社の装置はレーザを使用して、幅がそれぞれ約15~20 cmの領域に構造を生み出しています。その結果、レーンと呼ばれるこの帯状の領域内に、完全に均一なリブレット構造が出来上がるのです。

境界にはミリメートルレベルのずれがありますが、面積が広大であることを考えれば、機能的には問題ないとマイ氏は述べています。「これを解決するには、リブレットを2回施さなければならないのですが、それを行うと、材料に深く入りすぎてしまうリスクがあります。そのため、ここでは安全策を取っていますが、それでも約2,000個のリブレットを効果的に隣り合わせて配置することができています。継目が完璧でないのは致し方ないといったところです。」なお、被写界深度は約20 mmで、従来のレーザストラクチャリングの場合よりも非常に深くなっていますが、そうすることで、完全に平坦ではない航空機の表面にも、ストラクチャリングを毎分1平方メートルの速度で確実に施せるようになっています。

CO2レーザ vs. CO2消費量

この工法が格納庫にある大型航空機でも上手くいくようにするには、レーザを胴体に沿ってガイドする柔軟な装置が必要になります。4Jetではその目的で、ポータルと呼ばれる装置を製造しました。その寸法は巨大で、高さ10 m、幅20 mのデモ装置が、ドイツのアルスドルフ本社工場の前に立っています。Airbus A330またはBoeing 777の主翼を処理するために設計されたこの装置は、モーションシステム、レーザ、ミラー、干渉光学系、センサーとソフトウェアから構成されています。 レーザ装置はCO2レーザTruFlow 5000です。このレーザは、この工法の物理的な要件を最も良く満たしています。

トップ氏はこう説明しています。「波長が決定的に重要なのですが、CO2レーザであれば航空機の塗装に非常に良く吸収されるため、材料をいたわりながら正確なストラクチャリングを施すことが可能になるのです。」それと同時に、この工法に必要な干渉縞が、レーザ光が重なり合った際に発生して高い安定性で形成されるようにするには、レーザのコヒーレンスが高いことも求められます。そこでTRUMPFはTruFlowを4Jetでの用途に合わせて調整し、例えば特殊な回折格子を使用して光線のスペクトル幅を狭くしました。「ただし、CO2レーザでは光ケーブルを使用することができないのです」とマイ氏は解説しています。

ポータルは大型であるため、航空機の外板までの光路は長くなっており、専用開発したミラーシステムによって光線がそこまで導かれることになります。 「装置自体がねじれるため、アクティブトラッキング機能を使用しています。この機能では、可動ミラーが状況に応じて再調整されることになります。」このシステムは大型であるにもかかわらず、自由に移動可能になっています。このシステムでは、レーザスキャナーによって航空機と装置の正確な位置が検知されます。

基本的には、リブレット構造を航空機全体に施すことも可能ですが、実際に運用する際に、4Jetでは対象をエアロダイナミクスの観点で特に重要な領域に限定しています。 計算モデルで、空気抵抗の影響が特に大きい箇所、特に主翼での効果が最も高いことが示されているからです。トップ氏によれば、航空会社などの潜在顧客は、この工法に非常に大きな関心を示しているとのことですが、各社の航空機にLEAFチームがサメ肌構造を施すようになるまでには、あと少し時間がかかる見込みです。「現在航空業界で、このサービスを当社と共同で提供するパートナーを探しているところです」とマイ氏は述べています。その後には、必要な認証を管轄の航空局から得なければなりません。これには相当な時間がかかります。それでも、マイ氏とトップ氏は成功を確信しています。「当社では、商業化までにはあと3~4年かかることを理解していますが、この工法が上手くいくことは示せています。 次の段階に進む準備が出来たと思っています。」

作成日 2026/08/27
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