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改善の余地を簡単に把握

軽量構造のスペシャリストであるGEDIAでは、熱成形部品の切断でTRUMPFのレーザ切断機を頼りにしています。アッテンドルン拠点だけでも合計8台のTruLaser Cell 8030が設置されており、そのうち6台が熱成形領域で使用されています。「アッテンドルンには熱成形ラインが2つあります。部品は成形後にTruLaser Cell 8030で加工され、最終的なコンターが仕上がることになります」と、GEDIAのイブラヒム・ヨルルマス・レーザ技術担当者は語っています。「この最後のプロセスステップでは、いかなるミスも許されません。熱成形部品は高価であるため、マシンの停止や加工ミスは非常に高いコストの発生を意味し、ストレスの種になってしまいます。」またGEDIAでは、フル稼働の生産体制を敷いています。つまり、レーザ装置は365日24時間稼働することになり、相当の耐久性が求められることになります。そのためGEDIAでは、マシンに状態監視機能を装備することを前々から希望していました。冷間成形領域でのテストは、連続生産に移行する段階で、メーカー、プレスシステムとプレス力の種類が多すぎて、うまくまとめて調整することができなかったという理由で失敗に終わりました。そのような状況でTRUMPFからTruLaser Cell 8030の拡張型コンディションモニタリングのテストパートナーシップの申し出を受けた際、GEDIAは即座に快諾したのです。

GEDIA Gebrüder Dingerkus GmbH

www.gedia.com

GEDIAは、1910年に設立された家族経営企業です。ボディとシャシーの骨格部品と複合部品、車体のクラッシュ要件に適した機能部品、そしてエンジンコンポーネントを世界中の自動車業界向けに開発・製造しています。ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州アッテンドルンに本拠を置く同社は、世界中で約4,300人の従業員を抱え、米国、メキシコ、ポーランド、スペイン、ハンガリー、インドと中国に9工場を構えています。自動車の軽量構造におけるあらゆる標準的な技術に関するノウハウに加えて、GEDIAでは将来の技術に関する専門知識も継続的に深めており、多数のジョイントベンチャーや研究企業に資本参加しています。

従業員数
4,200
業界
自動車産業
事業拠点
アッテンドルン(ドイツ)
TRUMPF製品
  • TruLaser Cell 8030
アプリケーション
  • レーザ切断

課題

高度に自動化された連続生産すべてに当てはまることですが、マシンの停止はGEDIAにとっても腹が立つ出来事です。熱成形領域で使用されている合計6台のTruLaser Cell 8030はスタンドアロンマシンではありますが、プロセスチェーンの主要な構成要素であることに変わりはありません。1台のレーザ切断機で故障が発生すると、その影響は生産全体に及んでしまいます。それでもGEDIAではこれまで、大抵の連続生産業者と同様に、マシンが故障して停止するまで稼働させる、というストラテジーを取ってきました。そのような状況でGEDIAの維持補修担当者は、今後はコンディションモニタリングでこの問題を未然に防ぐことを考えました。

イブラヒム・ヨルルマス氏は、レーザ装置の状態監視に関心を寄せると同時に、得られた情報を品質改善や個々の製品の製造でのトラブルシューティングに明確な意図をもって転用できる点にも魅力を感じました。「当社の運転データ収集システムを使用して、どの部品がどのマシンで加工されたかを把握することはできますが、そこで限界に達してしまいます。生産ミスが発生した場合、その原因を突き止めて改善につなげることは極めて困難です。そこで必要となる詳細情報が得られる解決策を希望していました。」

またNCプログラム変更のトレーサビリティも、イブラヒム・ヨルルマス氏にとって重要なテーマでした。「プログラムの開始時点でのミスは、ごくわずかなものであっても切断品質に影響を及ぼす可能性があります。熱成形部品の場合は、すぐに高額なコストが発生してしまうことがあります。誰が、いつ、なぜプログラムを変更したかを突き止めるには、これまでは探偵のように地道に調査するしかありませんでした。」

レーザデータの評価からはメリットだけがもたらされ、デメリットはありません。データの交換と分析がなければ、インダストリー4.0は諦めるしかないでしょう。

イブラヒム・ヨルルマス
GEDIA Gebrüder Dingerkus GmbHレーザ技術担当者

解決策

GEDIAがコンディションモニタリングを利用できるように、TRUMPFのスペシャリストはまず熱成形領域にある6台のTruLaser Cell 8030のデータ転送をセットアップしました。ITセキュリティに関するガイドラインはGEDIAでも非常に厳格であるにもかかわらず、レーザ装置を安全なTRUMPF Factory Gateに接続する作業はそれ程高いハードルではなかったとヨルルマス氏は語り、次のように続けています。「当社のIT部門とTRUMPFのエキスパートの間のコミュニケーションは、非常にスムーズに進行しました。

Factory Gateは安全な接続方法であり、レーザデータの評価からはメリットだけがもたらされ、デメリットはありません。データの交換と分析がなければ、インダストリー4.0は諦めるしかないでしょう。」また、テストモードが1年弱経過した現時点で、ヨルルマス氏はTRUMPFのコンディションモニタリングソリューションの新機能にもとても満足しています。「個人的には生産レポートに感銘を受けていて、毎日利用しています」と語っています。「ここにリストアップされる情報の詳細度には目を見張るものがあります。」例えば、生産レポートにはどの部品タイプがどのマシンで製造されたかだけでなく、どのようなエラーが発生し、それがどのような故障につながったかも記載されています。

「レポートに、特定の部品でわずかに衝突する問題が再三再四あったことが示されていれば、それはプログラムにミスがあることの指標になります」と同氏は述べています。「一番良い点は、長い時間をかけて問題がある箇所を探す必要がないことです。生産レポートには、プログラミングのどのセットにミスの根源があるかが正確に示されますから。」しかも、生産レポートが便利なのは実際にエラーが発生した場合だけではないと同氏は前置きした上で、こう続けています。「品目固有の情報が大量に得られるため、貴重な改善・行動の余地をそこから導き出すことができます。」更にプログラミング変更でも、ミスの根源を探す必要がなくなっています。「マシンによって許容誤差が異なるため、カッティングプログラムのわずかな調整が必要になる場合があります」と同氏は説明しています。

現在では、新しいNCプログラム変更レポートから、誰がいつどのような変更をプログラムに加えたかに関する情報が得られるようになっています。「これは特にクレーム処理の場合に、作業負担の大幅な軽減につながっています」と同氏は述べています。「フル稼働している当社の工場では、これまではまずどのシフトで変更が行われたかを、そして誰がどの時点で作業していたかを明らかにした上で、プログラム調整の理由を突き止めなければなりませんでした。これは探偵のような地道な調査でした。」それに対して、GEDIAの維持補修担当者にとっては、コンディションモニタリングによるレーザ装置の状態監視が重要なポイントになっています。「マシンは非常に頑丈ですが、それでもTRUMPFのスペシャリストがレーザデータの分析結果を見て、当社のレーザの1台で即座にアクションを起こす必要があると指摘したことがありました」とヨルルマス氏は語っています。「この問題をTRUMPFと相談しながら解決したことで、マシンの重大な損傷を防止することができました。」

実行

ヨルルマス氏は、「コンディションモニタリングのテスト使用の前とその期間中、TRUMPFはいつもの通り解決志向で物事に当たりました」と語っています。「TRUMPFのコンディションモニタリングとそれに付属する生産・プログラム変更レポートは、まさに当社が望んでいたものであり、それが功を奏したのは言うまでもありません。しかも、熟成度も高いのですから。」ヨルルマス氏は、テストパートナーとして尊重されていると感じています。ミーティングを定期的に開催して、TRUMPFのスペシャリストはGEDIAのユーザーからのフィードバックを収集しています。「TRUMPFのエキスパートはこちらの意見に耳を傾け、可能な場合には希望通りに調整してくれました」と同氏は振り返っています。「問題が起きたことは一度もありませんでした。とても楽しく一緒に仕事をすることができました。」

展望

現在GEDIAではTRUMPFのSmart Viewもテストしています。これは、各時点でのレーザ状態を見やすく表示するダッシュボードのことです。各ユーザーの要件に合わせてカスタマイズ可能なこの通知システムに、イブラヒム・ヨルルマス氏は特に大きな期待を寄せています。「例えば、特定のエラーメッセージを特定のメーリングリストに直接割り当てることができます」と同氏は説明しています。ただしそれはまだ先の話であり、GEDIAではまずコンディションモニタリングを子会社に導入することにしています。国際的なワークショップで、イブラヒム・ヨルルマス氏とGEDIA成形技術部門のマーク・ラウタークース・プロジェクトエンジニアは、このソリューションの長所について詳細な説明を行いました。最終的には、子会社の全レーザを1つの共同ネットワークにまとめることを考えています。

当社製品に関する詳細情報

Condition Monitoring

コンディションモニタリングでは、TRUMPFの技術サービスエキスパートとアルゴリズムがレーザを監視します。先を見越した分析を行うことで、レーザネットワークの技術的な可用性と生産性が向上します。

インダストリー4.0スターターパッケージ

インダストリー4.0スターターパッケージは、プロダクションレポートとコンディションモニタリング(コンディションレポートを含む)から構成されています。そして、所有マシンの生産性に関する完全な透明性が確実に得られます。